帯揚げとは?格式やシーン別での選び方や素材の特徴などを紹介

着物の着付けに使う小物のひとつである、帯揚げとはなにかご存じですか?この記事では帯揚げの使い方と役割、結び方、選び方のポイントを詳しく解説します。

帯揚げを選ぶ際に知っておくと便利な素材別の特徴と、自宅でのお手入れ方法や洗い方、たたみ方などもあわせてまとめました。

着物の着付けにはたくさんの小物が必要です。着る当日になって忘れ物が発覚してはたいへんですので、余裕を持って準備しておきましょう。

振袖や卒業式袴のレンタルを手掛ける和風館ICHIでは、必要な小物が一式揃うレンタルセットをご提供しています。
今回解説する帯揚げももちろん同梱してお届けしますので、成人式や初詣などで振袖を着る機会にぜひお役立てくださいませ♪

成人式の準備はお早めに♪着付けに必要なものが一式揃う和風館ICHIの振袖レンタル

帯揚げとは?

帯揚げとは、着物に締める帯の上から少しだけ覗かせるよう結ぶ布のこと。広げると大きな長方形の布で、サイズはものにより多少前後しますが横160~180cmほど、縦30cmほどの大きさであることが多いです。

帯揚げの意味や歴史

着付けに帯揚げを使うようになったのは江戸時代の終わり頃。着物が現代と変わらない形になったのは平安時代のあたりだとされているため、帯揚げの歴史はまだまだ浅いといえますね。

帯揚げが使われるようになった理由は、『太鼓結び』という帯の結び方が生まれたことに関係しています。
太鼓結びとは背中側の帯に膨らみ(お太鼓)を持たせる結び方です。お太鼓を作るためには帯枕というクッションのようなものを挟むのですが、帯揚げはこれを隠すために巻く布として発案されました。

ほかにも、着物を着付けるときに使う腰紐を隠すためにも帯揚げは役立ちます。
このように実用的な機能を持つ帯揚げですが、色選びにこだわれば着物の着こなしにアクセントを加えられるのもポイントです。

帯揚げは必ず必要?

帯揚げは「見せたくないものを隠す」という役割を持つ小物ですので、絶対に必要というわけではありません。
しかし、使うことで以下のようなメリットが得られます。

・結び方次第で帯まわりの印象が華やかになる
・おしゃれアイテムとしてコーデを楽しめる
・上品さ、きちんと感が出る

着物・振袖を着るのはなにか特別な日であることが多いはず。そんな特別な1日に、とびっきりおしゃれに着物を着こなしたいなら、ぜひ忘れずに帯揚げを用意してくださいね。

帯揚げの結び方

帯揚げの結び方はいくつもあり、結び方によって帯まわりの印象を大きく変えることができます。ここでは基本の本結びと、結ばずに帯に収める一文字結びの2種類を紹介しますので、結び方の入門編として参考にしてください。

基本の本結び

本結びとは帯のすぐ上、体の中心で帯揚げを固結びにする結び方です。手順は以下のとおりになります。

1.帯を締め終わるところまで着付けができたら、帯揚げを背中側の帯の上にあて、脇を通して前面に回して左右の長さを揃えます。(※太鼓結びの場合は、お太鼓の間を通るように帯揚げを入れ、帯枕を隠すように包みましょう)
2.帯揚げを広げ、上から1/3、下から1/3ずつ内側にたたんで三つ折りにします。最後にもう半分にたたみましょう。
3.左右同じようにたたんだらシワを伸ばすようにまっすぐ引っ張り、帯の上、体の中心で一回結びます。
4.結び目の下になっているほうの帯揚げで輪を作り、もう一度ゆるめに結んだら、結び目の形を整えて帯の間に挟みましょう。
5.余った帯揚げは左右ともにくるくると巻いてたたみ、結び目と同じく帯の間に入れ込んで完成です。

アレンジ:一文字結び(結ばないやり方)

振袖に帯揚げを巻く場合によく見られるのが、一文字結びという付け方です。名称に“結び”とありますが、正確には結ばない付け方になります。
手順は以下のとおりです。

1.本結びの結び方の1~2と同じ手順で帯揚げをたたんだら、まず右の帯揚げを帯の上部と少し重なるようにあてながら左の脇まで引っ張ります。
2.余った帯揚げは脇の下あたりで帯と着物の隙間に押し込みましょう。
3.左の帯揚げを、1の帯揚げにぴったり重ねながら右の脇まで渡し、脇まで届いたら2と同じく余りを帯に収めます。

一文字結びは結ばないので、本結びよりも比較的簡単に仕上げられるのがメリットです。帯揚げの存在感が出やすい付け方でもあるため、帯揚げを含めてコーデを楽しみたいときは一文字結びを選んではいかがでしょうか。

帯揚げの素材の種類は?

着物をより一層おしゃれに着こなしたいときは、帯揚げの素材にこだわってみましょう。続いては帯揚げによく見られる素材と、それぞれの特徴をまとめました。

絞り(しぼり)

表面がデコボコした質感で、手触りは柔らかくふわふわしています。布を糸などで絞った状態で染め、模様を出す『絞り染め』という技法で作られている素材です。
全体が絞り染めで染まっているものを『総絞り』といい、一部だけ染められたものを『部分絞り』といいます。

綸子(りんず)

布を編む際には『撚り糸(よりいと)』というねじった糸を使うことが多いですが、綸子は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)ともにねじりを加えていない糸を使います。

できあがった生地の特徴は、薄く光沢があることと、なめらかな触り心地です。上品な印象を与えられる素材なので、華やかに着物を着こなしたいときに合わせるとよいでしょう。

絽(ろ)

数本の緯糸に2本の経糸を交差させながら編む『もじり織』という技法で作る素材です。通気性が高く、軽やかな見た目をしています。また、網目の模様がストライプ状に入っているのも特徴です。
涼しげな風合いですので、夏用に1枚持っておくと重宝するでしょう。

紗(しゃ)

緯糸1本に対して、2本の経糸を絡めながら織る『からみ織』の技法で作られる生地で、網目が格子状に入っています。
絽よりもさらに軽く、透け感があるのが特徴です。フォーマルな着物にはふさわしくないため、カジュアルな着物に合わせましょう。

帯揚げのシーン別の選び方は?ルールはある?

帯揚げは素材によって合わせてよい着物が決まっています。続いてはフォーマル、カジュアルな場面や、季節別に適した帯揚げ選びのルールをまとめました。

結婚式や式典などのフォーマルな場面

結婚式にゲストとして参列する場合や、式典・パーティーなどフォーマルな場に出向く場合は、総絞りや綸子の帯揚げを選びましょう。
色は淡いものにすると上品で落ち着いた印象になります。

進路新婦の母親が留袖を着るケースでは白無地や、白地に金や銀の模様が入った帯揚げを選ぶのが一般的なルールです。

訪問着の使用などのカジュアルな場面

カジュアルな着物には部分絞りの帯揚げがぴったり。色柄のルールもありませんので、好きな帯揚げでコーデを楽しみましょう。
帯や着物に帯揚げを馴染ませたいときは同系色を、アクセントに帯揚げを使いたいときは反対色や差し色になるものを選ぶのがおすすめです!

成人式などの振袖

成人式の振袖には総絞りの帯揚げがふさわしいです。成人式には帯揚げの色選びから結び方までこだわって、おしゃれな着こなしを目指してはいかがでしょうか?

帯揚げにはいろいろな結び方があることを前述しましたが、胸元にリボンや花の形を作ったり、フリルのようにヒラヒラさせたりするとぐっと華やかで個性的な振袖コーデが叶います。

和風館ICHIの振袖レンタルなら、振袖に合う帯揚げを同梱してお届け!着付けに必要な小物を買い揃える手間をかけず、レンタルセットの内容で着付けするだけおしゃれな着こなしができるので、ぜひ成人式の準備にお役立てくださいませ。

成人式の準備はお早めに♪着付けに必要なものが一式揃う和風館ICHIの振袖レンタル

夏場の着物

夏の暑い時期には絽や紗の帯揚げを合わせましょう。絽はかしこまった場所へ出向くときにも使えるので、淡い色・濃い色で複数持っておくとさまざまなシーンで着物を着る際に役立ちます。
紗はカジュアル向きの帯揚げです。同じく紗でできた夏用の帯と合わせるとより涼しげな印象になりますので、真夏のお出かけにも重宝するでしょう。

帯揚げの長さが足りない場合は?

帯揚げの長さはいろいろあるため、ものによっては長さが足りない場合もあるかもしれません。背中側から前に回してくるほど帯揚げに余裕がない場合は、以下の付け方で対応してみてはいかがでしょうか?

1.横に長く広げた帯揚げを上下に数回たたみ、棒状にします。
2.体の前から帯の上部に沿って1をあて、帯と着物の隙間に押し込んでいきましょう。
3.脇の下あたりに残りの生地をすべて押し込んだら完成です。

この方法なら、いかにも帯揚げを結んでいるように見せることができます。

帯揚げは機能的な小物というよりも、着物・振袖をおしゃれに見せるためのアイテムとして使われる側面が強いため、それらしく見えればOKと考える人も少なくありません。

帯揚げの長さが足りないとき、端切れなどを帯揚げの代わりに使いたいときには、ぜひこの付け方を試してみてくださいね。

帯揚げのお手入れや保管・たたみ方

使い終わったあとの帯揚げはどのようにお手入れすればよいのでしょうか。次に使うときにシワや汚れに気づいてショックを受けないよう、帯揚げは以下の手順に沿ってお手入れと保管をしてくださいね。

一旦干して四つ折りにたたんで収納

身に着けたあとの帯揚げは広げてハンガーにかけ、半日~1日ほど陰干ししましょう。このときに汚れやシミがないか確認しておくことも大切です。
たたみ方はまず半分にたたみ、もう一度半分にたたんで四つ折りにしてから押し入れやクローゼットに収納してください。

自宅での洗い方は?クリーニングしたほうがいい?

帯揚げは使うつど洗う必要はありませんが、何度か使用したあとや、シーズンオフのタイミングで洗いましょう。
クリーニングに出す場合は、着物や着付け用の小物のクリーニングに対応しているお店へ依頼すると安心です。

絹製の帯揚げは自宅では洗えません。化繊でできたものや「洗濯機で洗える」とうたっている商品なら自宅で洗ってもかまいませんが、洗い方に迷ったらクリーニング店に任せるとよいでしょう。

和風館ICHIの振袖レンタルなら、着終わった振袖も小物もクリーニング不要でそのままご返却いただけます。自分で洗う手間も、クリーニング費用もカットできるので、ぜひ便利にご活用くださいませ!

成人式の準備はお早めに♪着付けに必要なものが一式揃う和風館ICHIの振袖レンタル

帯揚げの収納・保管方法

帯揚げはしまっている間にシワが入らないよう、平置きで保管するのがおすすめです。また、保管中にカビが生えたりシミができたりするのを防ぐためにも、風通しがよく湿度が高すぎない場所に収納しましょう。

心配なら押し入れやクローゼット用の乾燥剤を置いておくか、定期的に収納スペースの扉を開けて風を通すことをおすすめします。

片付けた帯揚げをしばらく使う予定がない場合は定期的に虫干しを。季節が変わるごとに年4回ほど虫干しすれば、美しさを保ったまま保管することができるでしょう。

まとめ│帯揚げ次第で振袖コーデはぐっと華やかに♪結び方のアレンジも楽しんでみて

帯揚げとは本来、着物・振袖などの着付けに使う腰紐や帯枕を隠すために使われるようになったものです。しかし、現代ではおしゃれアイテムとして用いられることも多くなっています。

帯揚げの結び方は慣れれば簡単で、基本の本結びは帯の上で固結びをするだけ。振袖に合わせる場合は一文字結びという結ばない付け方をする人も多いので、なりたいイメージにあわせていろいろなアレンジを楽しんでみましょう。

帯揚げの素材には種類があり、TPOや季節によって最適なものが決まっています。
成人式の振袖には総絞りの帯揚げがぴったりですので、振袖の色柄に合わせてよく映える帯揚げを選んでみてくださいね。

京都と東京に店舗をかまえるキモノショップ和風館ICHIでは、成人式用の振袖のレンタル・販売を手掛けています。
必要な小物が揃うレンタルのほか、振袖や帯揚げの単品販売も行っていますので、ご興味があればぜひ当店の振袖ラインナップをご覧くださいませ!

成人式の準備はお早めに♪着付けに必要なものが一式揃う和風館ICHIの振袖レンタル