袴とは?着物・和装との違いや、卒業式に着る理由を解説!
袴といえば、大学や短大、専門学校の卒業式で女性が着る定番の衣装です。さて、ほかにはどんな場面で袴を着た人を見かけるでしょうか?
袴はそこまで身近な衣装ではないため、その歴史や着る意味を知らない方は多いかもしれません。
この記事では男性用と女性用で異なる袴の変遷から、袴の種類と着用シーン、卒業式で袴を着るようになった理由まで詳しく解説。「袴とはどんなもの?」という疑問に隅々までお答えします。
袴と合わせる着物の種類も紹介しますので、卒業式を控えている方は参考にしてくださいね。
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袴とは?女性と男性とで違う袴の歴史
現在は限られた場面でしか見かけない袴ですが、昔は日常的に着られるものでした。まずは男女別に袴の歴史を紐解きます。
男性用袴の歴史
袴の原型は古墳時代にできたとされています。当時の袴は膝の位置で紐を結ぶ形になっており、腰から膝上までは膨らみ、膝下はキュッと絞られたスタイルでした。
現代の袴はウエストから股下までのラインがストンとまっすぐで、いわばワイドパンツのような見た目ですので形状から異なりますね。
ここから平安時代までは“袴=男性が着るもの”という時代が続きます。古墳時代には男性の普段着だった袴は、平安時代には礼服になりました。
その後も袴は男性の正装として着られ、現代では黒色の紋付袴が男性の第一礼装(もっとも格式が高い服装)となっています。
女性用袴の歴史
女性が袴を着るようになったのは平安時代のころ。当時は、女性の礼装であった十二単の下着として袴をはいていたそうです。
ここから鎌倉時代にかけては宮中に住む女性の間で袴が広まっていきます。しかし、流行りが落ち着いてからは女性が袴を着る機会は減っていき、また“袴=男性が着るもの”になっていきました。
江戸時代には身分ごとに着るものが細かく分けられ、女性が袴を着ること自体が禁止されていたのだとか!
女性が再び袴を着るようになったのは明治時代のころ。理由は、女学生の制服として袴が採用されたため。
明治から大正時代にかけてこの“女学生=袴”のスタイルが定着したことにより、いまも大学や短大、専門学校の卒業式に袴を着る女性が多いのです。
袴と着物・和装の違いは?
袴を着物や和装などと呼ぶのを聞いたことはありませんか?ここでは袴と着物、和装の違いを解説します。
着物
着物とは日本の伝統的な民族衣装をさす言葉です。和服ともいい、袴や振袖、訪問着、浴衣などはすべて着物に含まれます。
ところで着物はその種類によって格式が異なることをご存じでしょうか?袴は男性の正装にあたると前述しましたが、女性にとっての袴は“特別な日に着るけれど、正装ではない”という位置づけです。
参考までに、以下の表では男女別の正礼装(第一礼装)~略礼装までの着物をまとめました。
・男性の礼装
正礼装 | 黒羽二重五つ紋付 | 背中、両袖の後ろ、左右の胸元に1つずつ計5つの紋が入っている。 |
準礼装 | 色紋付 | 紺色やグレーなど落ち着いた色の着物。紋の数は1つ、3つなど。 |
略礼装 | お召一つ紋付 | 無地の着物に、紋が1つないし3つ入っている。 |
・女性の礼装
正礼装 | 黒留袖 | 既婚女性の第一礼装。色は黒、5つの紋が入っている。上半身は無地に紋のみで、帯より下に縁起物の柄が描かれる。 |
色留袖(五つ紋) | 柄の描かれ方は黒留袖と同様で、色が黒以外のもの。既婚・未婚に問わず着てOK。 紋の数が3つなら準礼装として着られる。(※紋の数が5つなら黒留袖と同格、1つなら略礼装になる) |
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振袖 | 未婚女性の第一礼装。長い袖が特徴で、袖の長さにより大振袖・中振袖・小振袖の3種類にわけられる。 | |
準礼装 | 訪問着 | 全体に柄が入った華やかな着物。各種パーティーや子どものお宮参りに入学式・卒業式など幅広いシーンで着用できる。 |
色無地 | 黒以外の色で柄のない着物。控えめで上品な着こなしが叶う。 | |
略礼装 | 付け下げ | 訪問着より控えめに柄が入った着物のこと。訪問着は全体の柄がつながるように描かれているのに対して、付け下げには散りばめられたような柄が入っている。 |
和装
和装は漢字のとおり「和の装い」のことで、「和服を着ていること」を表す言葉です。着物姿の女性を見て「あの人、和装だね」といえば「あの人、和服を着ているね」という意味になります。
着物は「着るもの」そのものを表し、和装は「着物を着ている」という状況をさすことを覚えておいてくださいね。
袴の種類
着物に種類があるように、袴にも種類があります。袴の形によって異なる3種類の呼び方をまとめました。
馬乗り袴
足を通す部分が二股に分かれている、いわゆるワイドパンツのような形状の袴です。江戸時代に武士がはいていたもので、馬に乗るときや武道を行うときに用いられていました。
男女ともに着られる袴ですが男性が身につける場面が多く、成人式や大学などの卒業式に馬乗り袴を着る方もいます。
また、神職に就く男性がはいている袴も馬乗り袴が多いです。
特徴は足さばきがしやすいこと。体を動かすときに適した袴なので、「剣道や弓道のときに武道着としても着る袴」といえば馬乗り袴をさすことを覚えておきましょう。
行灯袴
行燈袴(あんどんばかま)は両足の間に仕切りがなく、ロングスカートのような形状をしています。
ウエストから裾までのラインが一直線に広がっていく見た目が行灯に似ているためこの名前になったのだとか。
歴史は比較的浅く、登場したのは明治時代のころ。女学生の制服として作られたのがこの行灯袴でした。
女性が卒業式にはく袴といえばこの行灯袴をさすことが多いです。
男女ともに着用できる袴ですが、男性用は腰で着付け、女性は胸の下で着付けるという違いがあります。
襠有袴
襠有袴(まちありばかま)は、馬乗り袴と同じく真ん中に仕切りがあり、見た目は行灯袴に似ています。
その理由は仕切りが短いため。馬乗り袴は、ワンドパンツのように太ももの付け根あたりから股下が分かれますが、襠有袴は膝のあたりから仕切りが始まります。
見た目はスカートのように見えつつも、足さばきがしやすいのが特徴です。学校の卒業式に襠有袴を選ぶ女性も少なくありません。
卒業式ではなぜ袴を着るの?
ここまで何度か触れてきたとおり、明治から大正時代の女学生たちの制服は袴でした。しかし、当時はまだ女性が高等女学校へ進学するのは珍しかった時代。
女学生は、いわば“高等教育を受けられる選ばれた女性”だったのです。
袴に身を包み、女学校へ通う女学生の姿は庶民の女性たちから羨望の眼差しで見つめられていたことでしょう。
このことから「女性の袴姿=学ぶ女性の象徴」というイメージが根づき、現代でも「卒業式の女性の衣装といえば袴」というのが定番のスタイルになったのです。
卒業式は長らく通った学び舎から旅立つ大きな節目の日。一緒に学んだ同級生たちと一生忘れない思い出を作るためにも、とびっきりの衣装を準備しましょう。
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袴に合わせる振袖の種類は?
袴は洋服でいうところのボトムスであり、分類はズボンやスカートと同じもの。上半身には着物を合わせます。
卒業式に袴を着る場合には振袖を合わせるのが一般的です。ここでは振袖の種類を解説しつつ、袴と合わせるときのポイントをまとめました。
大振袖
婚礼衣装として用いられる振袖で、袖の長さは104~120cmあります。振袖の中ではもっとも格式が高いです。
和装で結婚式を挙げる際のお色直しに選ばれるものですので、卒業式袴に合わせるには格が高すぎます。
和装はTPOに合わせた着こなしをすることが非常に大事ですので、卒業式に大振袖は選ばないでおきましょう。
中振袖
成人式に着る振袖として多くの方が選ぶのが中振袖です。袖の長さは95~100cmほど。振袖は未婚女性の第一礼装であり、結婚式に参列する際やお正月の初詣などにも中振袖は着られます。
袴に中振袖を合わせたコーデはとてもゴージャスで華やかです。しかし、袖がふくらはぎあたりまである中振袖は軽快な動作には向かず、立ち座りの動作や移動が多い卒業式では少々もたついてしまう可能性があります。
実際のところ卒業式ではあまり見かけない袴+中振袖のコーデですが、大振袖のように袴と合わせてはいけないわけではありません。
成人式に着た中振袖を袴と合わせて卒業式に出る方も一定数います。
卒業式に中振袖を着るなら、移動時に袖を引っ掛けたり、段差や階段の上り下りで踏んでつまずいたりしないよう気をつけてくださいね。
小振袖(二尺袖)
卒業式袴には二尺袖を合わせるのが一般的です。小振袖の袖丈は60~85cmほどで、ふとももあたりまでの長さがあります。
小振袖を合わせた袴のコーデは軽やかで若々しい印象になり、これから社会へ飛び出していく卒業生のイメージにもぴったりです。
卒業式袴の販売やレンタルを行うショップでも小振袖を多く取り扱っているため、豊富な選択肢からお気に入りの組み合わせを選べるのも魅力のひとつでしょう。
卒業式袴の印象はコーディネート次第でガラッと変わります。いろいろなコーデを比較しながら卒業式袴を選びたいときには、和風館ICHIの袴レンタルシミュレーターが役立つはずです。
二尺袖と袴、帯の色柄を選びながら1,000通り以上のコーデを作れるので、卒業式を控えている方はぜひ試してみてくださいね。
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【大学生・専門学校生必見】卒業式の袴コーディネートのヒント
袴のサイズは?測り方を解説
卒業式当日になって、用意しておいた袴の丈が長すぎる・短すぎることが発覚してはたいへんです!卒業式袴を選ぶにあたっては事前にきちんと採寸をしましょう。
袴を着る際には草履かブーツを合わせますが、どちらを選ぶかによっても最適な袴丈はことなります。
草履を履くなら、採寸のときはアンダーバストより5cm下からくるぶしまでの長さを測りましょう。
ブーツを履く場合は、やや短めに袴をはくと足元がスラッと見えます。採寸時はアンダーバストより5cm下から、くるぶしより3cm上までを測ってくださいね。
和風館ICHIの袴はSS~3Lまで豊富にサイズを展開しております。小柄な方にも長身の方にもぴったり合う袴がきっと見つかるはずですよ。
まとめ│あなたの美しさがぐっと引き立つ袴で一生の思い出に残る卒業式を過ごそう♪
もとは男性用の着物として広がり、一時は女性にとっても身近になった袴。袴の原型が生まれたのは古墳時代と聞いて驚いた方は少なくないのでは?
一時は女性が着用することを禁じられた袴ですが、明治時代に女学生の制服となったことで現代でも「女性の卒業式の定番衣装」として定着しました。
袴には両足の間に仕切りがあるタイプとスカートに似た形状をしたタイプがあり、それぞれ呼び名も以下のように異なります。
・馬乗り袴:ワイドパンツに似た形の袴
・行灯袴 :ロングスカートのような形の袴
・襠有袴 :両足の仕切りが膝あたりから始まる袴
卒業式袴に選ばれるのは行灯袴か襠有袴のいずれかです。
袴を選ぶ際にはアンダーバストより5cm下からくるぶしまでの長さ(ブーツを合わせる場合はくるぶしより3cm上まで)を採寸し、合うサイズを選びましょう。
現代の袴は、男性の正装になっています。女性が袴を着られる機会は大学や短大、専門学校の卒業式くらいのもの。これを逃せばもう袴を着るチャンスはないかもしれません!
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これから卒業式を控えておられるなら、ぜひ当店の袴ラインナップをご確認ください♪